欠片
ある手紙の断片
宛名のない手紙の断片
『これからどうしたいですか? あなたはそう尋ねました。 正直、今でもよくわかりません。 答えを出すには、僕にはまだ時間が掛かりそうです』
白波が時間を緩やかにするみたいに砂を撫でている。 それに呼応するように文字にも呼吸が生まれた。
『あなたは、「あなたが本当にいるべき場所は、どこですか」とも尋ねましたね。 この町も、部屋も、きっと永遠の居場所ではないのでしょう。少なからず、まだ自分の居場所だとは思えません。 どれもが自分のもののようでいて、どこか借り物みたいに感じてしまいます。 それでも、ここを仮の避難所だと思ったまま、やり過ごすのはやめようと思います。 逃避先ではなく、ここから始める場所として、この海を見てみたい。 あなたが、この砂浜を僕の居場所にしてくれました』