2026年7月10日

 廊下を歩く足音で彼女だとわかった。  一定の間隔で、わずかな乱れもない。  午後になると、リアは決まって病室に来る。時折、花を持って。  花を抱えて来た日には、彼女はいつも花瓶の水を替え、持ってきた花の茎を整える。  そして、花を花瓶に挿した後も、何度かその角度を調整し、少し離れたところから確認する。  その手順は、長いあいだ変わらなかった。